2009-06-12

『精神』

2007年、実際の川崎市議会補欠選挙の選挙運動に密着した『選挙』という映画で、
ドキュメンタリー映画とも異なる、テロップも効果音もない「観察映画」というジャンルを確立し、
ノンフィクションの新たな地平を切り開いた、想田和弘監督。

その最新作がこの映画『精神』です。


 「外来の精神科クリニック「こらーる岡山」を舞台に、
 心の病を患う当事者、医者、スタッフ、作業所、
 ホームヘルパー、ボランティアなどが
 複雑に織りなす世界を観察したドキュメンタリー。
 日本社会がタブーとして来た題材を敢えて正面から見つめ、
 当事者たちの日常生活、思想、不安、悩み、苦しみや喜びに肉薄する。」
 (wikiより)

まず何よりも、この映画の画期的(?)なところは、
登場人物、つまり、実際の精神病患者の顔に、
一切モザイクをかけていないこと。

想田和弘監督は、
「被写体の顔にモザイクをかける手法は、当事者に対する偏見やタブー視をかえって助長する」と考え、
素顔で映画に出てくれる当事者のみにカメラを向けたそうです。

当事者の為という名目で使われるモザイクという手法が、
あのモザイクの向こうにあるものは、
「直視してはいけないもの」であり、「触れてはならないもの」であり、
さらには「向こう側のもの」であるという、
そういった偏見、境界線を生み出しているというパラドックス。

この映画は、モザイクを使用しない、という手段を選んだことで、
そのパラドックスを力強く踏み越え、
様々な症状を抱えた人々の姿を克明に描き出しながら、
さらには、こうした心の問題が決して特別なものでもないことを、
観る者の心に刻み付ける作品になっているそうです。

いやぁ、観たい!!

、、、ところが残念ながらこの映画、
現在のところ鹿児島での上映は予定されていないみたい。
全国でも、見れる地域は限られているようで。

『選挙』のときと同じように、
作品がDVDになるのを待つ他ないようですが、
待ちきれそうにありません。

7月からは福岡で公開されるそうですが、、、

行こうかな、福岡。