2009-01-27

『箱男』 安倍公房

学生時代の書類を処分しようと、
段ボール箱を漁っていて発見。
良い機会なんで久しぶりに読んでみました。
安倍公房の『箱男』。



ダンボール箱を頭からかぶって徘徊する男の話です。

「匿名の市民だけのための、匿名の都市――
 扉という扉が、誰のためにもへだてなく開かれていて
 他人どうしだろうと、とくに身構える必要はなく、・・・」

 この世界が持つ無数の「棘」から身を守るため、
 箱の中に暮らす男。
 他人から見られることなしに、
 相手を一方的に覗く快感に溺れていく。

いや~、今読んでも眩暈がします。

初めて手にとって読んだときは、
主人公が頭からダンボール箱をかぶった浮浪者って言う時点で、
なんじゃコレと思ってひっくり返ったんですが。

内容自体もそれ以上にぶっ飛んでますよね。
かなりカオス。
まるで万華鏡の中を覗き込んだ時のような。
そういう感覚に陥っちゃいます。
この作品を"メタ文学"と呼ぶ人もいるそうですが、さもありなん。

でも、凄く面白いです。

関係ないかもしれませんが。
ひょっとしたら、箱男が覗き穴から外界を見る感覚って、
2ch見たり書き込んだりしてるときの感覚に似てるかも、、。