学生時代の書類を処分しようと、
段ボール箱を漁っていて発見。
良い機会なんで久しぶりに読んでみました。
安倍公房の『箱男』。
ダンボール箱を頭からかぶって徘徊する男の話です。
「匿名の市民だけのための、匿名の都市――
扉という扉が、誰のためにもへだてなく開かれていて
他人どうしだろうと、とくに身構える必要はなく、・・・」
この世界が持つ無数の「棘」から身を守るため、
箱の中に暮らす男。
他人から見られることなしに、
相手を一方的に覗く快感に溺れていく。
いや~、今読んでも眩暈がします。
初めて手にとって読んだときは、
主人公が頭からダンボール箱をかぶった浮浪者って言う時点で、
なんじゃコレと思ってひっくり返ったんですが。
内容自体もそれ以上にぶっ飛んでますよね。
かなりカオス。
まるで万華鏡の中を覗き込んだ時のような。
そういう感覚に陥っちゃいます。
この作品を"メタ文学"と呼ぶ人もいるそうですが、さもありなん。
でも、凄く面白いです。
関係ないかもしれませんが。
ひょっとしたら、箱男が覗き穴から外界を見る感覚って、
2ch見たり書き込んだりしてるときの感覚に似てるかも、、。